りゅう座(Draco--ドラコ)

こぐま座のまわりをぐるりと取り巻いているのがこのりゅう座。プトレマイオス48星座にも入っている古い星座で古代から、この点々と続く星の列が竜のように見えたのだろう。神話ではヘラクレスの12の冒険の11番目、楽園の中で美しい声を持っている三人姉妹、ヘスペリデスが守っている「金のりんご」を取りに行かされたとき、そのりんごの木の下で番をしていた竜だということになっている。頭が100あり、決して全部が眠ることがないと言われていた。
ヘラクレスは楽園の場所がわからなかったので、三人姉妹の父親で天を永久に支える役目を負っているアトラスのところへ行き、かわりに支えてやるからりんごを取ってきてくれと頼んだ。アトラスは喜んで引き受けりんごを取ってきてくれた。しかも、このりんごをエウリステウス(冒険を命じた王)のところへ持っていってやるからそのまま天を支えてもらいたいと言い出した。ヘラクレスは「肩が痛くてしょうがないので、肩にクッションを当てるだけの間、変わってもらえないか」とダマして、金のりんごを入手したという。

りゅう座の星

α星 トゥバン(Thuban)
アラビア語で竜のこと。りゅうの尾にある3等星だが、歳差運動による計算によると、この星はBC2790年を中心とする前後数百年の間、北極星となっていた。しかも、そのころは2等星の輝きであったと言われている。
β星 ラスタバン(Rastaban)
アラビア語「アル・ラス・アル・トゥバン」(蛇または竜の頭)が訛ったもの。
γ星 エルタニン(Eltanin)
アラビア語で「アル・ラス・アル・ティニン」(竜の頭)が訛ったもの。
δ星 ノドゥス・セクンドゥス(Nodus Secundus)
ラテン語で「二番目の結び目」という意味で、竜のとぐろの二つ目という意味。
ζ星 ノドゥス・プリムス(Nodus Primus)
ラテン語で「一番目の結び目」。
ι星 エダシク(Edasich)
アラビア語の「アル・ディハ」(牡のハイエナ)が訛ったものという。この星を放射点として毎年1月4日を中日とした数日、「りゅう座流星群」が見られる。
λ星 ギアンサル(Giansal)
アラビア語の「ジョザル」(ふたご)が訛ったものと言われている。おそらくこの星が見かけの二重星であるからだろうという。
υ星 クマ(Kuma)
由来不詳。
ξ星 グルミウム(Grumium)
ギリシャ語の「ゲネイオン」(下顎)が訛ったもので、竜の下顎にあたるところから。

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