おおぐま座(Ursa Mijor--ウルサ・マイヨール)
天の北極の近くを巡り、有名な北斗七星を含む有名な星座。7つの2等星が並んでいるのでとても目立つ。目立つのでいろんな民族から注目されていた。古代バビロニアや中国では荷車と思われており、ギリシャ人がはじめて大熊に擬したようだ。ちなみに北斗七星はおおぐまの腰から尾のあたりになる。
ギリシャ神話では次のようになっている。月の女神アルテミスの侍女にカリストという娘という美人で活発な娘がいた。その姿に心をひかれた大神ゼウスはアルテミスの姿に化けて近づき、カリストをてごめにして孕ませた(しかし、ゼウスというのはあちこちでやりまくっているのである。うらやましい)
そして子供であるアルカスが生まれた。ここで例によって嫉妬深いゼウスの妻、ヘラはカリストを熊の姿に変えてしまう。アルカスは母親の血を受け継いで狩りのうまい青年に成長した。ある日、森でアルカスが大きな熊と遭遇した。いい獲物だとその心臓をヤリで突こうとしたとき、彼に母親殺しの罪を犯さないようにアルカスもまた熊の姿に変えて、天に上げたのだという。(おおぐまとこぐまの由来)。
それでもヘラの憎しみはとけず、おおぐまとこぐまがいつまでも天の北極をぐるぐる回るようにして、地平線の下にもぐって休息させないようにしたという。この二つの星座は日本やギリシャあたりの緯度だと周極星(いつも地平線の上に出ている星)だから出てきたお話だろう。旧約聖書に星の名前はほとんど出てこないが、黄道12星座やプレアデス、オリオンとともにこの星座の名前が「ヨブ記」にも出てきているところからかなり古い時代から人々に認識されていた星座だったのだろう。

おおぐま座の星

α星 ドゥベー(Dubhe)
アラビア語で「おおぐま」。もともとは「おおぐまの背」という名前だったが省略されて今の名前になったようだ。
β星 メラク(Merak)
アラビア語で「腰」。おおぐまの腰の部分にあたる。
γ星 フェクダ(Phecda)
アラビア語の「ファハド・アルドゥブ・アル・アクバル」(おおぐまのまた)を短縮されたもの。
δ星 メグレス(Megrez)
アラビア語で「つけね」。
ε星 アリオト(Alioth)
意味は不明。13世紀の星図にはすでにこの名前となっている。アラビア語の「尾」が訛ったものと推測されている。
ζ星 ミザル(Mizar)
アラビア語の「腰ぬの」。ちなみに日本にはこの名前の望遠鏡メーカーがある。
η星 アルカイド(Alkaid)
アラビア語名「カイド・バナト・アル・ナアシュ」(大きな棺台の娘たちの頭)の前半部分から。後半部分を取ってベナトアシュという別名もある。中国では「破軍星」と呼ばれ、この星に向かって軍を進めると必ず破れると言われた。
ι星 タリタ(Talitha)
アラビア語の「アル・カフザ・アル・タリタハ」(三つめの足跡)の短縮形。
κ星 タリタ・アウストラリス(Talitha Australis)
ι星と同じ部分の後ろにラテン語の「南の」をつけた名前。「第三の足跡の南の星」の意味。
λ星 タニア・ボレアリス(Tania Borealis)
アラビア語の「アル・カフザ・アル・タニア」(二つめの足跡)の短縮形にラテン語の「北の」をつけた名前。「第二の足跡の北の星」という意味。
μ星 タニア・アウストラリス(Tania Australis)
λ星と同じ部分の後ろにラテン語の「南の」をつけた名前。「第二の足跡の南の星」の意味。
ν星 アルラ・ボレアリス(Alula Borealis)
アラビア語の「アル・カフザ・アル・ウラ」(第一の足跡の南の星)の短縮された部分に、ラテン語の「北の」をつけた名前。「第一の足跡の北の星」という意味。
ξ星 アルラ・アウストラリス(Alula Australis)
「第一の足跡の南の星」の意味。
ο星 ムシダ(Muscida)
ラテン語のmusum(鼻)が訛ったもの。ちょうどおおぐまの鼻の部分にあるところから。
おおぐま座80番星 アルコル(Alcor)
ミザルのすぐそばにある星で、視力のいい人だとこの二つの星を見分けられるところから古代アラビアでは視力検査に使われた星。名前はアラビア語の「アル・カワール」(かすかなもの)から来ているとされる。
なお、通常ギリシャ星名(α、β……)は、その星座の最も明るい順でつけられるがおおぐま座は北斗七星の端から明るさに関係なく順番につけられている。
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